歴史と反復

人は自分で自分の歴史をつくるとはいえ、どうにでも自由にできる素材から歴史をつくりだしているわけではないし、その際におかれている状況も自分で選んだものではない。その状況とは元からそういうようにして目の前に与えられているものであり、先人から受け継いだものなのだ。死んでしまったあらゆる世代から伝わってきた伝統というものが、いま生きている世代の頭脳に、悪夢のなかで人を襲う魔物のようにとりついている。そこで、いま生きている世代は自分と物事を変革して、これまでなかったものを作り出そうと頑張っているように見えるちょうどそのとき、まさにそのような革命的危機の時代に、過去の亡霊たちを恐るおそる呼び出して使おうとする。今生きている世代は過去の亡霊の名前や闘争スローガン、舞台衣装を借りて、こういうありがたい時代ものの扮装を身に着け、借り物の台詞を使って、世界史の新しい場面を上演するのである。

マルクス『ルイ・ボナパルトブリュメール一八日』